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2017-04-10

絵本「うさぎまでのおさらい」をつくったこと

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井上奈奈さんのあたらしい絵本「うさぎまでのおさらい」(ビーナイス刊)の製本監修を、縁合って空想製本屋がさせていただきました。
作家が紡いだ物語をリソグラフ印刷で丁寧に刷り、糸かがり手製本をした、様々な方々の手が結集して出来上がった一冊です。
手工芸的な製本は、部数を多くつくることができません。それゆえ、商業出版の製本にお声掛けいただくことは、貴重な機会でした。
今回はもともと、比較的簡易な中綴じか平綴じの構造で作りたいとのご希望でした。
しかし、私が受注を受けて一冊ずつ作ると、時間も費用も必要で、販売する本の価格に見合う事がなかなかできません。
それならば、製本の方法をご提案して、「みんなで」作ろう!となったのでした。
ワークショップ形式で製本を教えながら、売り物の本を作る。
教わる人の楽しみを満たしつつも、質を保った本を作らねばなりません。(もちろんのこと!)
初めての試みでしたが、出版社のビーナイスさんがあっという間に、作業の参加者を集めてくださったのでした。
2日間で、のべ15名の方が参加してくださいました。

作家の井上さんや、会場も提供してくれた中野活版印刷店さん、デザイナーさんや、イラストレーターさん、元々本に関わる人たちも多かったせいか、作業は順調に進み、最初の心配をよそに、2日間で100冊を無事に仕上げることができました。
初めて製本をする方々に対して、質を求めるというのは酷な気もしていたのですが、みなさん「きれいな本を作ろう!」という気持ちが高く、楽しみながら作業していただけたので安心しました。
ソフトカバー装、中綴じの糸かがりといっても、量産本のそれとは異なる、細部のつくりにこだわった造本となるよう、
手だからこそできることを大切に、努めました。
5つ目綴じ、チリをつくったこと、表紙のがんだれ、手に持ったときの柔らかさ、などなど、丁寧に手で作ったからこその本の息づかいが、そこにはきっと宿っているはずです。

こちらの本は、荻窪・Titleさんでの井上さんの展示「うさぎ、くま、わたし、泣く」で販売をします。
前作の「くままでのおさらい」(こちらは美篶堂さんによる、美しい上製本、そしてリソグラフ印刷です)とともに、その世界感をぜひご覧ください。
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2017年4月6日(木)ー 2017年4月23日(日)
Title 2階ギャラリー
12:00 – 21:00 水曜・第三火曜休み 
*イベント開催日(4月10日・21日)は18:00にて終了 最終日23日は19:00にて終了

きみとわたしのさかいめは どこだろう?
綴じられているのは、祈りにも似た「やさしさ」が紡いだ物語。——–

昨年秋、ビーナイスより美篶堂手製本の特装版とハンディ版にて同時刊行された、絵本『くままでのおさらい』。この春、スピンオフ作品として製本監修に空想製本屋を迎え『うさぎまでのおさらい』が新たに生まれます。展示では、2つの物語の間を行きつ戻りつ、一冊一冊丁寧に紡がれた本の世界をお楽しみください。

*展示期間中、『うさぎまでのおさらい』(糸かがり手製本)が会場限定で販売になります。

*展示期間中の4月10日、TALK EVENT「本を作るということ」を開催します。こちらのページよりお申し込み下さい。http://www.title-books.com/event/2620

展示協力:ビーナイス  中野活版印刷店