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2016-02-04

斎藤史歌集

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028: 「斎藤史歌集」
文庫本→糸綴じ、くるみ製本 総革装 丸背ソフトカバー
表紙に空押し、銀箔押し装飾 

Q1:あなたがこの本と出会ったきっかけは?
もう20年以上前、池袋のぱるこ・ぱろうるで偶然見かけて買いもとめました。
斎藤史は大西巨人の神聖喜劇の引用で知りましたが、それまで歌集を手にしたことはありません。

Q2:この本のどんな所が気に入っていますか?
文庫という簡素な体裁に2000首の歌が詰めこまれているところ。
ここには半世紀に亘る作品が採録されており、それら固有の時間を自在に往き来できるところが気に入っています。

Q3:一番好きな言葉や場面は?
「魚歌」から二首
「遠い春 湖に沈みしみづからに 祭りの笛を吹いて 逢ひにゆく」
「わが頭蓋の 罅を流るる水があり すでに湖底に寝ねて久しき」

Q4:どんな状況でこの本を読みたいですか?
郷里に帰る夜行列車のなかで読んでみたい気がします。もうそんな列車もなくなってしまいましたが。

Q5:この本にまつわる印象的な記憶や思い出を教えてください
早朝の電車で、黄の色鉛筆を片手に、ざっとおさらいでもするように読み進めるうちに斎藤史の世界に惹きこまれました。
ステレオグラムから風景が浮かびあがるような不思議な感覚でした。

空想製本屋から
シンプルな造本の中にひとつだけ、ささやかな装飾、魚の意匠を入れました。
第一歌集「魚歌」より、歌の文字が本から飛び出して魚へと変わっていく、またお客様の言葉をお借りして「泳ぎながら文字へと転身していく」イメージです。
手帖のような柔らかな仕立ての表紙。お客様は毎日持ち歩いているそうです。

*コメントは、持ち主の方の許可をいただいて掲載しています。