2021. 7. 2(金) – 7. 19(月) 12:00 – 19:30(日曜は19:00まで) 水曜定休
本屋Title 2階ギャラリー(東京都杉並区桃井1-5-2)
【展示は終了いたしました】
「旅、何処へ? 自分が属する日常生活的現実のルールが通用しない世界へ、自ら一つ一つ道標を打ち樹てて地図を作成しつつ進まなければ迷いのうちに果ててしまう知の未踏の地へ、書の世界へ、自らを隠すことに知の技術の大半を投じている秘教の世界へ、己れが継承した知的技術を破産させるような知識で満ちているような知の領域へ―」 山口昌男『本の神話学』 天井まで高々と積まれた書物。ジャンルを飛び越えた、縦横無尽な本の配置。膨大な量を興味の赴くまま読み解き、そこから生まれる閃きをもとに道を拓いていく。書物が互いにそこにあることで、書物同士が共鳴し、新たな旋律を奏で始める……。 文化人類学者・山口昌男(1931-2013)のかつての書棚には、そんな知の祝祭的空間が存在した。 本書は、2006年の蔵書整理の記録を収めた写真とともに、山口昌男の著作テクストを一部引用し、既存の領域を飛び越えて展開する、氏の思想のミクロコスモスを一冊の本として体現しようというものである。 図書館的分類の枠から遠くはなれた、様々な言語、学問分野、文学、芸術の書物や漫画までが混ざり合う書棚。この書棚は、観る者によってその姿を変える写し鏡でもある。山口昌男が愛した道化たちに誘われ、旅に出よう、書棚の彼方のもう一つの世界へ―。 『山口昌男・本の迷宮 Masao Yamaguchi The Labyrinth of Books』 テクスト | 山口昌男 写 真 | 兼田言子 序 文 | 今福龍太 協 力 | 山口拓夢 組版・デザイン | 兼田言子 印 刷 | 株式会社文伸/中野活版印刷店 造本・製本 | 空想製本屋 編集・発行 | 本の迷宮企画室(兼田言子・本間あずさ) *限定100部/H180×W208mm 96p/糸かがり(Ethiopian binding)手製本/綴じ糸は白樺(北海道美幌町産)草木染め ▲企画者在廊日:会期中土曜、日曜 山口昌男 1931-2013年。文化人類学者。北海道美幌町出身。 東京外国語大学名誉教授、元札幌大学学長。70年代初頭から、道化・トリックスターの分析や「中心と周縁」理論などを通じて、既存の学問の領域を超え、文学や演劇、美術など様々な分野に影響を与えた。主著に『人類学的思考』『本の神話学』『道化の民俗学』『歴史・祝祭・神話』『文化と両義性』『「敗者」の精神史』などがある。 本の迷宮企画室 /展示構成 東京外国語大学今福龍太書物論ゼミナール1期生。山口昌男蔵書整理から15年を経て、当時の書棚と山口昌男ののこした空気を一冊の本にまとめる。 Twitter:@meikyu_books Instagram:@meikyu_books 兼田言子| 在ること、見えないこと、触れること、実感すること、連なること。そのそれぞれを写真でいかに表現できるのかに取り組んでいる。 個展(Gallery MAKI, 2009, 2011, 2014)ほかグループ展多数。 本間あずさ| 本と人とをつなぐ、手製本のアトリエ「空想製本屋」主宰。少部数の受注製本、製本教室、手製本作品の制作等をおこなう。
今福龍太先生 ギャラリートーク#1